2017年10月18日水曜日

transitionを加速する

状態Aから状態Bに移ることをtransitionといいます。単なる変化というよりは、何かゆっくりと移り変わっていくそのスピード感だったりプロセスに力点がある言葉のように感じています。

ここでは志の話とも関連し、自分がこれまでの特に2年間でどのようなTransitionを経験し、さらにその中での個人の変容を加速していくために、Transitionを加速するための方法について考察してみます。

外的なTransition

特に2015年からの大きな変化は、今から数えると16年前に創業したかものはしプロジェクトという団体から独立し、改めてカンボジアで行なっている事業を続けていくと決めたことです。その中で

  • 例えば、財務的にも組織的にも日本の本部に頼らずに自立した経営がより求められる中で、自分自身の経営者としての役割がより広く、チャレンジングなものに変わった。例えば、お金・組織だけでなく、ものづくり・ブランディング・資金調達などさまざまな分野についてもっと厳しい目でチェックをするような役割など
  • 本部が2018年度からもうカンボジアでのプロジェクトを続けません、という事実が組織にもたらした動揺とそれを落ち着かせること
  • かものはしプロジェクトの常勤の理事として関わりつづけてきたが、段々と外部の理事になることをイメージして関わるようになってきた
  • カンボジアにより長く残るという決定の中で、家族がタイに引越しを決めてくれた。結果家族との時間が増えたり、自分自身の移動が増えた
  • 「かものはしプロジェクト」としての帽子、「新団体の代表」としての帽子など状況や文脈でかぶる帽子が増えた

といったような自分の仕事、役割、所属する団体、ベネフィットの変化、組織的な混乱を乗り越える旅などなどさまざまな外的な変化がありました。その中には寂しさだったり、ダメ出しを沢山されたり、痛みだったりを経験することが沢山起きました。まだまだ修行中ですが、経営者としても、1人の人間としても結構面白いチャレンジだし、だいぶ成長させてもらったなと思っています。

内的なTransition

外面の変化の一方で自分の内面の変容もたくさん感じ取ることができました。

  • 1年かけて独立を決める中で、自分の本質と繋がった事業の決め方が出来たこと。何人もの人と手を繋ぎながら自分の内面を探る旅が出来たこと、それによって湧き出るようなエネルギーと共に事業を進めていけていること。その場の熱狂や楽しさに良い意味で流されてQuickなdecisionを続けてきた自分が、16年ぶりに、いや、それこそ生まれて初めてきっちりと「自分で決めた」という経験が出来たことを誇りに思っています。
  • 痛みを超えて孤独でなくなったこと。2015年の組織の混乱の中で、経営者としてというよりひとりの人間としてどんどん問題を抱え込み、孤立にすすんでいったように思います。「団体の生き残りを真剣に考えているのは僕だけなんじゃないか」とか「果たしてみんないなくなってしまうんじゃないか、みんなに迷惑をかけているんじゃないか」という恐れもありました。そんな中、それを打破してくれたのが一緒に働く同僚たちでした。自分たち自身で「青木に頼っているマネジャー陣。その甘え」「それでいて文句が言えない、不満が伝えられない、関係性が一歩進まない同僚」という痛みを乗り越えて、「自分たちはどうなりたいのか」「青木との関係をどうしたいのか」「どう共にいられるか」という問いを考えてぶつけてくれた仲間たちには本当に感謝しています。僕には経営者は必ずしも孤独じゃなくてよいとおもっている強い信念がありますが、それはこの時確信したものです。今は共になやみ、お互いにダメ出しをしあい、最後まで一緒にたっている心強い経営チームで仕事が出来ています
  • 家族との関係。家族が持つさまざまな事情や、それぞれの個人、そして将来的に自分が面倒を見るという覚悟など、さまざまなプロセスのなかできちんと向き合うことができました。特に本当に良い家族に恵まれたことにより感謝できるようになりました。痛みとしては、自分が自分で人前で「怒り」だったり「悲しみ」だったりを表明しづらくなった人格を形成してしまったことを乗り越えて、そんな自分をより好きになり、さらにはもっと自由になろうとしています。

今後Transitionを加速するために

Uの谷を潜るプロセスであり、長いトンネルを越えようとすればまた違ったトンネルに出会うことにもなります。いかに自分の内部を見つめ変容を自覚し、感謝し、加速していけるか、ということに今後はもう少し挑戦したいと思います。その勇気をいつもくれる同僚、コーチ、師匠、メンターの方々に感謝です。

具体的な挑戦は何度も最近のブログで繰り返していることとある意味同じです。

  • 無邪気に夢を語り続けること
  • 夢に日付や手足を生やして、もっと確信を強めること
  • タイの家族ともっと向き合うこと
  • 豊かな感情を楽しむこと
  • 自分の「怒り」「悲しみ」という感情に好奇心を持つこと。隠された願いはなんなんだろうか、と思いをはせること

そうすれば、いろいろな場面で確信をもって、人とのconflictや直面を恐れることなくより自由にすすんでいけるように思っています。そうすれば僕が描いている、ライフスキルを世界で提供すること、それを可能にする優しい資本主義の実現に必ず一歩近づくと信じて、この個人の変容の旅をより楽しみたいと思います。

もっと自由になるぞ。自分のいやな感情、見えなくなった怒りとも共にあるぞ。もっと、世界に関わり続けていく。シェムリアップだけでなく、カンボジア全土にサービスを提供するためにあわなくては行けない人は誰なのか、日本はどうか、世界はどうか。その人たちとともに歩む最初の勇気を持つことが出来ました。

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