2010年3月6日土曜日

なぜファクトリーの製品を売るのか

かものはしのファクトリーでは、単に職業訓練を行うだけではありません。
大切にしているのは実際に市場を通じて商品を販売する事です。

それは大きく分けて、2つの目的があります。

1つ目の目的は、私たちが村の女性達の自立により役立ちたいからです。

本気で物を売ることがいかに難しい事か、
社会人の方ならおわかりいただけると思います。

しかし、お客様を抱え、納期と品質と生産性に向き合ってこそ分かる事がたくさんあります。

例えばそれは、「物作りの喜び」。
自分が物を作る意味を一番感じるのは、使う人が喜んでくれるから、大切に使ってくれるから、感謝してるから、そしてお金を払ってくれるから。ときに怒られる事や、作り直さなくてはいけない事もあります。でもそれを乗り越えればよりたくさんの人に喜んでもらえる。それが、喜ばれる喜び。
そして、もっといい物を作れるようになる。技術がつく。それが、成長する喜び。そこに物作りの喜びがあるのではないでしょうか?

例えばそれは、「チームで働く喜び」。
村の女性達にとって、今まで多くの人数で一つの目的に向かって協力し合った経験は必ずしも多くありません。
でもい草を縫い合わせるためには、い草と布を切ってくれる他のワーカーが必要です。
い草を切るためには、い草を織ってくれるワーカーが必要です。
い草を織るためには、い草を染めてくれるワーカーが必要です。
そして、それらをうまく連携するためには、チームリーダーや、スタッフ、工場長など様々な人の協力が必要です。
自分一人で出来る事は小さくても、チームで働けば売れる商品を作る事が出来る。
ときに励まし合い、ときに厳しい意見が飛びあい、そして喜びを分かち合う。きっとそこにチームで働く喜びがあると思います。

例えばそれは、「仕事の厳しさ」。
決まった時間にファクトリーにきて、決まった時間まで働く。
納期を守れなければいけないし、一日の生産目標も守らなくてはいけないし、手を抜く事も出来ない。
今できる事をやれば良いだけではなく、徐々に技術をつけて色々な商品を作れるようにならなくてはいけない。
ただ少し疲れたからと言って勝手に休めばみんなに迷惑がかかる。
頑張って作っても、お客さんが欲しい物でなければ売れないし、お金ももらえない。
そこには日雇いの農業とも、家事の手伝いとも違った厳しさがあります。
もし自分一人でお店を始めるとき、その厳しさを知らなかったらどうなるでしょうか?

職業訓練ではなかなか難しい、市場に物を売る事を通じて得られるそういった経験を通して、村の女性により強く生き抜く力をつけて欲しい。
それが1つ目の目的です。

2つめは団体の自立、ということ。でも長くなったのでこの辺で。


Zenback