2012年5月3日木曜日

創業者と被雇用者の文化ギャップ

最近流行のノーマッドとか、起業論ではないのですが、最近感じる事があったので。

大きく分けて、楽観度・自由度、自己評価、当事者意識、ミッションへの理解度、あたりで違いを感じた。

※正確に言うと、お互い、30歳ごろで、起業しか経験していない人(自分)と、5,6年大企業で働いていた人の違いという意味。

10年前にかものはしプロジェクトを学生同士で起業し、僕自身は特に大きな企業に属することも無く今まで過ごしてきた。最近、今になって大企業で働いている / いた友人と話したり、カンボジアに来て雇われNGOスタッフであるうちのスタッフと話していると、色々違いを感じることが多い。その文化ギャップを記してみる。

起業したから良いとか悪いとかじゃなくて、お互いのことが良くわかると一緒に働きやすい、という趣旨です。なお、過度の一般化をしているので注意。

楽観度・自由度の違い

話していて驚く事の一つは、自分の業務の範囲、そして今後のプラン・今できていないことに対する楽観度の違いだ。ルールは自分たちで作るものだと思っている僕達に対して、ルールは与えられるもので変更できないと考える人が多いことに驚いた。課題と与件の切り分けというか。

  • 起業経験からくる癖:最初は何も無かったわけで、給料も0円、3万円というところから始まった。全部ちょっとずつみんなの協力でできあがってきた過程を知っている。そのため、今できないことがたくさんあるのが当たり前で、それを頑張って目指す事が当たり前という価値観がある。特にうちの団体は夢見がちなので、今できないことを目標にするのは当たり前である。
  • カンボジア / 日本の大企業からきたっぽい癖:様々なルールはあらかじめ整備されているので、まずルールを理解してその中で動くことが大切。賢いとはルール(明文化されたものに限らず)をまず理解し、運用することである。前年の実績、先輩の作った道があるので、それにのっていくことが効率が良い。

起業した人にとっては実績とかルールとは自分で全部作るものだし、それが正しいと思っているので、ときとして

  • なんでも課題だと思って解決しようとする
  • ルールを作るとき、改訂するときもそもそも論から考えるため効率が悪い(大切なことだけど)
  • 既存のルールを軽視・無視する。ルールを守りきれないことになれているため。
  • 前年度実績とか無いので効率が悪い

という問題があったりする。

自己評価の違い

これは特にカンボジア人との間で感じる事。日本人の異常な自己評価の低さに対して、カンボジア人の自己評価が異常に高いことがある。本心の評価というよりも、少なくとも他人に見せる評価という意味で。名目GDPと実質GDPではないが、あまり乖離はしないに越したことはない。

低すぎると自信を無くすし、そもそも幸せでなくなる。高すぎると間違いが認められず改善出来なくなる。

  • 自分:自分が出来ないことが沢山あるということをこの10年嫌と言うほど思い知ったので、自分の問題点を隠すことはあまり無い。ただベース自分の事が好きなので、ちょっとゆがんでいる可能性高い。
  • カンボジア人:大学出身で英語をしゃべれるスタッフはしばしば過剰な自信を持つことが。そして農村の人を見下すことも多い。その優越感も一つのモチベーションなわけで、一概に否定できないんだけど。ただ、自己評価全部「優」みたいのは、日本人マネジャーには嫌われます。これ豆な。
  • 一部の 大企業から来た人:失点主義だったことが災いして、ミスを認められない、もしくはミスするようなチャレンジが出来ない。無難な自己評価を好む。

当事者意識の違い

上記の違いの原因の一つとして責任意識の違いということもある。

起業した方からすると、プロジェクトがうまく行かないのも企業がつぶれるのも全部自己責任という気がするが、雇われた方にすれば、他にいくらでも文句のつけようもある。ただやはり自分がまかされた部分には当事者意識と責任感を持ってもらうように環境を整えていく必要があります。これは経営者・マネジャーの責任。

他責NGOじゃなくて、他責NGにしたいですね。

ミッションへの理解度の違い

  • 自分:実現したい世界は何で、そのためのうちの団体のミッションは何で、どう人に伝えるかということをずっと考えてきた。だから逆に、自分がわかってるほど、スタッフがミッションについてわかってると勘違いしがち。(何をするのかだけでなく、何をしないのか、も含めて)
  • 大企業から来た人:ミッションは往々にして単なるお題目であることが多い。そのため、ミッションと自分の仕事のつながりも意識できず、社会に貢献していることが実感できない。

この辺は理念経営を掲げたり、それをてこに大企業再生をする人なんかが逆に一番得意なところかもしれない。小さな団体の創業メンバーなどは、逆にミッションを隅から隅まで浸透させることの必要性がわかっていなかったり、その時間をとれなかったりするので。自戒も込めて。

もっと細かい話しもあるのですが、マインド面での様々な違いがあって面白いなぁと改めて思った次第。

なお、当たり前ですが、キャリア差より個人差の方が大きいです。そして、本件は因果関係を示すものではないので、そもそも違うから起業したっていう話もあります。念のため。

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文化の違いなんて乗り越えられるよね。の図。

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