ということでSocial Businessやってるからって利益だけで測られたらたまらないよね(いや、利益も大切だけど)。という思いと、資本主義に対する違和感を頑張って言葉にしてみる。なお、タイトルの「意味がない」は釣りです。
全部お金で測って良いんでしょうか?
「全てを金銭的な軸に正射影するから多次元な価値が失われ、金銭的な価値が過大評価されるんだ」という問題意識がある。
例えば、創業社長の社会的な思いが、やがて株式会社になり、2代目社長になり、ステークホルダーが増えていく中で、金銭的な価値(やそれの基となる他の価値)で判断されるようになって、なんのために存在しているのか良くわからなくなるというようなことが起きる。(って大企業の人から聞いたんですが本当に起きてるのかしら)
資本主義で「雇用を守る」ということの価値はほとんど利益を出すこととイコールだから、それが大切です というのはもちろんなんだけど、経営者にとって「雇用を守るために会社がある」、もしくは従業員にとって「雇用され続けるために働く」「雇用によって家族の安心と安全を守る」といったときに、「あれっ、人が集まってなにか作るのってそのためだけだっけ?」という話になるだろう。
利益は必要条件であってゴールでは無い とおっしゃった偉い経営エッセイストもいらっしゃったし、最近だと下記の記事も参考になった。
その意味で、「ほぼ日」は「商品」ではなくて、「友達に譲るもの」を作っていて、それをお金と交換している、というふうに考えています。資本主義というのは、「商品」を「お金」と取り換える仕組みですが、僕らは共同体の中で、「今日、おいしくお芋がふかせたのよ」「うちでは栗ができました」みたいなやり取りをしたい。で、物々交換が大変な時に、「じゃあ、お金でいいよ」みたいな。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20141118/273974/?P=6&mds
もちろんサービスを通じて社会を変革するんだという志がある団体・企業も沢山あるので、企業ダメだ、みたいな話がしたいわけではない。
お金で測れないと何が問題なの?
さて、どっちの仕事の方が稼げるかということは比較的簡単に測りやすく比較しやすい。しかし例えば、「どっちの仕事の方が社会に貢献するか」ということはかなり絶望的に測りづらい。(※「社会に貢献しているかどうかという雰囲気をどれくらい直接感じるか」というのはもう少し測りやすいでしょうが)
測れなくて比較できないことは交換できない。交換できないものは色々とスケールしづらいだろう。例えばマネジメント上も改善しづらいし、競争原理が働きづらいし、コミュニケーションが難しいので組織化もしづらいかもしれない。
例えば、どちらのNGOのサービスの方が女性の内面の自立を助けているか ということを効率も含めて比較し選択するのはかなり困難であるため、どちらか一方のNGOのサービスが劣悪だったとしても淘汰されづらい。SROIだって他団体の比較に使うためのものではないと思うし。
じゃあお金で測れない価値を追求する僕達は何をすればいいの?
じゃあ明らかに金銭的な価値という軸だけでないところで戦っている僕達はどうすれば良いのだろうか?いくつか考えてみると例えば下記のようなことを思いついた。まぁ結局仕事頑張れ、っていうことですよね、と思う土曜日の朝。
1.測って比べる
測りづらいって自分で書いておいてなんだけど、大切なのは測りづらいことにめげずに測って比べること。社外比較には使えなくても社内での比較には使えるため改善とコミュニケーションは改善出来る可能性がある。これはアウトカムを指標化してそれをとりましょう、と言っていることに近い。
ただ、例えば、人の心の内面や尊厳って本当に測れるんだろうか、測ることに意味はあるんだろうかという課題は常について回る。これは僕の趣味もあるかもしれないけど、それでもめげずに測るべし。
参考になるのは、Social Progress Index( http://www.socialprogressimperative.org/ TEDがわかりやすいかも )みたいなものや、人の社会問題解決能力を測るSPSI-R http://www.mhs.com/product.aspx?gr=cli&id=overview&prod=spsi-r みたいなアプローチだろうか。 人間開発指数とかもそういう意味では頑張っているかもしれない。(貧困指数も最近は複数の指標を組み合わせるIndice型にしているところもあるんだよね とどっかで見た)
評価の話も大切になってきて、きちんと対照群をとって測るとか、出来ればランダム化比較試験して測るということが大切になる。
2.金銭的な価値に置き換えてみる
SROIや、最近はやりの(?)「(例えば再犯防止の文脈で)$1をこのサービスを投下すると社会的コストが$5減ります! ($5かは覚えてないけど英国のSocial Impact債とかこういうロジックだったような)」「(例えば公教育のDropout Preventionの文脈で)$1の援助でこの子の生涯収入は$11増えます (Communities in Schoolの事例)」みたいな形で金銭でコミュニケーションする、という感じ。きちんとした根拠や調査に基づいてこれが出来るとかなりコミュニケーションが加速するイメージがある。最近のNGOの勝ちパターンみたいな。
貧困問題を貧困率で測るとか言うのも近そう。
「管理費率をXX%以下に下げます」みたいのはちょっと違う。
3.サービスを届けるプロセスを管理・改善する
CMMIでも、いやそれこそPDCAサイクルの周り具合でも良いけど社会サービスを届けるプロセスやリソースを頑張って改善し続けるというのも良いだろう。他団体と比べることも出来やすい。優秀な人・組織が良いプロセスでサービスを届ければ、サービスに価値が出やすいだろう という間接的な評価である。これが良いのは人材育成や管理方法などは企業で発展した方法をアナロジーを聞かせて持ち込むことが出来るあたり。