2012年10月14日日曜日

読書メモ:数学に感動する頭をつくる

良い本だった。なんと言っても著者のバランスのとれた語り口と、その志の高さが爽快な本であった。

自分が高校時代に習った本当にマスターピースのような数学の授業、そのときの様子を思い出した。今でもその数学の授業の先生とは時々飲むのだけど、最近では授業はディスカッション方式になったらしい。この書籍でも触れられている、解き方などを生徒同士で話し合って、式の見方・切り口などを深めていくという形式である。

もちろんこの本は、自分自身や自分の子どもへの数学教育を考える上で、非常に示唆に富んでいる。

しかしそれ以上に驚かされたのは、今、カンボジアで部下を育てなければいけない自分の立場でも参考になることが多々あったと言う事だ。

カンボジア人のマネジャーやサブマネジャークラスに対して、ロジカルシンキングをもっと鍛えたいと最近常々思って色々試している。ちまたの本には「ロジックツリーとMECEです」とか書いてあるんだけど、どうも違和感があった。

もっと基礎的な部分でうまく話がかみ合わない事があるのだ。そしてそれはうまくは言えないが、どうも数学の力が関係あるのではないかと思っていた。

そういった疑問にまっすぐに答えてくれたのがこの本であった。数学のセンス・考える力をいくつもの力に分解しており、至極納得がいき、それぞれ事に確かめたり鍛えたりするヒントをいただいた。

しかし、この本を読んで改めて思ったことは、自分自身がいかに恵まれていたかということである。

小学校〜高校の時、その後も恵まれた環境の中で今までのびのびと勉強していた自分の有り難さを実感し、何とか次の世代に伝えていきたいという決意を新たにすることが出来た。著者の志に触れたからだろうか。

巻末の問題も割とあっさり解けたのは先生のおかげでございます。また飲みましょう。

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