良くまとまっていて現場をとらえなおすのに良い本だと思ったのでシェア。
以下抜粋しながらうちの工房の改善点を。
- 花王の2010年の経常利益が1200億円程度
- 一方1986年以来TCRで削減したコストが年間100億×17年
- 売上原価率が60%→40%に削減
→ 原価の目標・予実管理をするべし。その上で大胆な目標、長期的な目標を立てて地道にトライすべし
- 経営戦略はポーターが提唱したポジショニング理論から90年代に入って資源ベースアプローチが注目を集めた
- 資源を「有形資産」「無形資産」「組織のケイパビリティ」の3つに分ける
- 「ポジショニング理論」と「資源ベースアプローチ」の二つの切り口を共存させることが大切。つまり戦略とオペレーションの整合性・一貫性
→ ともにはっきりと定義、共有する必要あり
- 「現場力を測る5つのものさし」
- コスト
- 品質
- スピード
- サービス
- 顧客満足:最終的な指標
- これらのものさしを用いて継続的に測定する
→ 現場力の指標化、KPIへの組み込み
- 行動習慣の四段階
- ステップ0:意識も低く、能力も低い
- ステップ1:意識はあるが能力は低い
- ステップ2:意識すればできる
- ステップ3:意識しなくてもできる = 組織の「くせ」
- 多くの会社はステップ2でとまってしまう。そのうち意識が低下してステップ0へと逆戻りする
- 改善は一過性のactivityではなく持続的な組織能力(capability)である
→ Production Managerに目標と行動を設定させて、現場と一体となって取り組んでもらう
- 基本の徹底によってよみがえったサンドビック瀬峰工場
- 基本とは5S
- 自ら知恵を出して工夫すれば、着実に良くなることを肌で感じた現場
- その後ジャストインタイム生産のコンセプトの導入でリードタイムの短縮、原価低減を進めた
- 「平時の現場力」が大切。
→ 5Sをどの程度のレベルで実現するか真剣に検討する。基本ノートの実践。
- サービス業のトライアングル
- 真ん中に顧客
- サービス戦略
- サービスポリシー
- ターゲット顧客
- サービスレベル
- 人
- 人作り(採用・教育・配置)
- モチベーション・エンパワーメント
- システム
- 仕組み
- マニュアル
- 三つの要素の整合性が大切
→ CFのSE部分はサービス業。ポリシー、レベルの定義とシステム化を目指すべし。
- ヤオコーでは値付けや発注、さらには利益管理や出退勤管理などの仕事までパート社員に任せたり、業績に応じて決算賞与を支給するなどの工夫をしている
- 腐りやすい商品をメインにしている → 現場の当事者意識、判断力、行動力が大切になる
→ CFの商品は決して腐りやすくないが、CFで働く女性達は「クサ」りやすい。SEでの現場の権限委譲をすすめてみる? チームリーダーへの権限委譲も大切
- 現場力を高める基本的なアプローチはスモールチームを作り問題解決に取り組むこと
- スモールチーム同士が互いの知恵を競って現場力がアップする
- スモールチームの目安は4〜8人。
- ヤマトホールディングスでも8人一チームでセンター長一人というチームを構成するのが基本。ヤマトでは「少数になると精鋭になる」と考えている
- 現場リーダーの役割の当事者意識・情熱を引き出すのが鍵。現場リーダーの役割は自律的に問題解決を出来る人材を育てること。
- テッセイでは主任とはうっとうしい存在。「時にはうっとうしいと思われる存在になるかもしれない。鬼と呼ばれることもあるかもしれない。でも、そこを乗り越えないと一人前の人材は育たない」という覚悟がある
→ CFのチーム制を推し進めていくべき。リーダーの精神教育、チーム同士の競争、リーダーへのエンパワーメントはもっと徹底的に行うべき。
- 「コマツウェイ」を徹底化するための工夫
- 社長直属のコマツウェイ推進室、コマツウェイ研修センターの設置。普及・啓蒙活動、人材育成活動を担当。特に経営幹部に対する教育に力を入れる
- 海外のトップ、および経営幹部を対象とした「トップマネジメントフォーラム」「グローバルマネジメントセミナー」において「コマツウェイ」の実践報告、提言が繰り返されている
- 海外のミドルマネジャーを対象とした「コマツウェイ・リーダーシップ・ディベロプメント・プログラム」を各国で展開
- それによりマネジメントの現地化を推進している
→ CFのバリューを定義するにあたって、まず活用場所・徹底方法をイメージすることが大切。評価システムにも組み込むべきだし、朝礼や暗記も行うべき。
- ヤマトでは社員が生み出した満足をポイントで見える化している。満足BANK。
- 自分が褒める:目標達成による自己評価
- 仲間が褒める:同僚からの投票
- お客様が褒める:お客様の声
- 会社が褒める:全社で実施するキャンペーンの上位者
- ポイントが一定値に到達するとポイントに応じた色のバッジが贈呈され、上位者は本社主催の表彰式で表彰
- テッセイではよく褒めた人を褒めるために「ほっと・ぬくもり賞」があり、毎年6名程度(全体で700人程度)を表彰している。褒める文化を定着させるための努力が必要
→ 日本ですら褒め回数を増やす・見える化する必要がある。カンボジアではなおさら。表彰まで徹底して行うのが大切。みんながポジティブな目で現場を見るようになれば、日常の声かけにもつなげていけるはず。まずはスタッフから。
- 部門の壁を乗り越えるためにはワンフロア化、壁の取り去りが大切。物理的な壁が心理に大きく影響する
→ 代表の執務室や2フロア化などはなんとしても防ぐべき。カンボジアの権威主義と徹底的に対抗する。
- 現場力が高い = 「組織密度」が高い × 「組織熱量」が高い
- 組織密度:一体感。イキイキ。人の対話を増やしてあげていく。健全な対立をどんどん行う。
- 組織熱量:エネルギー。ワクワク。共通の夢・目標を掲げる。煽るためのシンプルな覚えやすい目標の導入
- 日産リバイバルプラン(NRP) → 日産180(「販売台数100万台増加」「連結営業利益率8%」「有利子負債0」) → 日産パワー88 (2016年度までにグローバルシェアを8%に、売上高営業率を8%に)
- チャレンジングな目標設定とそれを徹底的にわかりやすいシェア。
→ 覚えやすい数字、ワクワクする感じの名前が必要。チャレンジングな目標を一体感を持って追い求めるべし。
- トヨタは日本のマザー工場を基点にして、世界三極のグローバル生産推進センターを設置。Trainer's Trainerとして日本人以外の人材が育っている。
- タイ人のTrainer's Trainerがブラジル工場を指導するなど
→ 何とかしてトヨタの元Trainer's TrainerをCFに呼べないか検討する。タイ人の方など抵抗が低いのでは?海外指導経験がある方。
- 現場力強化のための問題、問題解決の進捗の見える化は切り離せない
- 問題解決のPDCA:Problem Finding(問題発見)→ Display (見える化)→ Clear(問題解決) → Acknowledge(確認)
- イトーヨーカドーの見える化の例
- 問題の見える化:フロアのレイアウト図に問題は赤シール、解決したら青シールで進捗管理にも私用。
- 基準の見える化:標準作業の見える化、基準在庫の見える化、当日入ったパートが作業出来るレベル
- バックヤードの見える化:整理整頓の2Sを徹底。デッドスペースを削減し、道具の置き場を見える化
- 能力開発の見える化:星取り表的な話。作業スケジュールの効率化に繋がった
→ 現場に見える化を取り入れるためにオフィスからまず取り入れる。スタッフに授業を行う。検品基準や手洗いなどの標準作業の見える化に早急に取り組む。
- 見える化の成果が上がらない3つの原因
- 見える化そのものが目的化してしまう。問題解決の手段でありので、解決すべき問題や何をみせるかについての考察が浅い。
- 一番大切な悪い情報・問題の兆候が見える化されていない。品質劣化を招きかねないトラブルや顧客を失いかねないクレームが見える化されることが大切。同時に見える化は犯人捜しではないという価値観の共有、実践が大切。
- おもてなしの欠如。見づらい、見せすぎ、配慮がない。
- 見える化は10年単位で取り組むべし
→ 文化にしていくためにはチーム作り、実践の中での試行錯誤が大切。5年プランに入れ込む。
- 強い現場を生み出すための7つの要素
- 業務プロセス:業務プロセス、業務の標準化、役割分担やルールの明確化
- 人:人材のスキル開発、能力開発、意欲向上
- 場:問題を発見・解決しオペレーションを進化させる場
- 組織:フラットでシンプルな組織設計。指揮命令系統、責任と権限の明確化
- 業績評価:パフォーマンス評価、褒める仕組み、評価指標を決めた上での見える化
- ICT:仕事の流れのスムーズ化や適切な評価のために必要
- 共通の価値観:現場力こそ競争力の源泉であるという経営の意思と、独自のウェイの確立・浸透が継続的な取り組みを可能にする
→ このフレームワークに従って中期計画を整理する
- 海外ではバリュードリブンとインセンティブのハイブリッドが求められる。仕事に対する思想や文化が違うため。
- バリュードリブン:現場の改善の源泉を価値観や思想におく
- インセンティブ:改善の源泉は(金銭面を主とした)インセンティブによって行う
→ どちらも機能すると思っていた方が良いのではないか?いずれにせよ現場の力を引き出すための画一的な方法論はないので、試行錯誤するしかない
その他豆知識
- トヨタの現場ではPDCAサイクルを推し進め、PDCAAサイクルとなっている。最後のAはachievement(効果検証)。改善そのものの質を高める仕組みがある。
- 5→20→100の法則。
- 5%の志がある核人材に火をつけてテストを行う。
- 20%の変革人材に広げていく。この段階が大切。
- 20%が改善を推し進めれば現場で大きなうねりを作ることが出来る