2018年4月16日月曜日

sustainable fashionの時代へ

世界の先端ではsustainable fashionの話をしていた

先日お世話になっている方にお誘いいただき、香港で2日間行われたProduct Innovation Apparelという世界の最先端のアパレル業界の人たちの発表会&勉強会に参加してきました。200人程度の限られた人の参加ながら、誰もが知るような大きなブランドの方々や、業界では知らない人はいないような歴史のある大きな流通の企業まで錚々たるメンツに囲まれて小さくなりつつ、最先端のアパレルを覗いてきました。

沢山の発表、分科会などがありましたが、ざっくり言って2/3はITの話、そして1/3はsustainable fashionの話だったように思います。もちろん主催者の意図も大きいとはおもいますし、supplierと接しやすい香港という土地柄も大きかったとは思いますが、思いのほか本格的なsustainable fashionが多く良い意味で期待を裏切られました。

もともとITに関わっていたこともあり、深層学習で画像をつかって不良検出とか、体のサイズ測定とか、モデルに3Dで服を着させたりする話とか、研究室レベルではなく実際の商品として販売していたのはそれはそれで面白かったです。この辺りは今後5-10年くらいでコモディティ化して一通り導入されるんだろうなという予感がしました。

利益より優先されるCSR調達方針

一方のsustainable fashionについては、CSRなどの観点というよりは全社戦略として取り組んでいらっしゃる企業が増えてきているのではと感じさせる内容でした。特に感動したのが実際に調達担当の方が、バングラデシュの取引先の工場にいかに自社のCSR基準を守ってもらうか、という具体的なセッションでした。最初の最大の発注量を100とした時に、実際半年ごとの監査に合格しなければ75, 50, 25と発注量を自動的に減らしていかなくてはいけない社内基準を設けていらっしゃるそうです。

調達担当からすれば、お客さんの注文に間に合うようになんとしてでもむりやりにでも調達してしまいたいところを、その監査結果は社内で共有され実際発注できないようになっているそうです。相手の工場がずっと基準を守れなければ2年以内には発注できなくなるわけで、別の信頼できる工場を探さなければいけません。これは言うは易し、行うは難しで、本当に大変だとのことでした。思わず僕もどうしてこの社内規則が正当化できるのか、と質問したところ
  • うちの経営トップが、利益より前にresponsibility sourcingを優先すると、決めた
  • purposeが全て、だって僕らは人間じゃないか といういかにもアメリカな感じのお返事をいただきましたが、同時にHRやIRにとってはプラスになっているとのコメントもありました。
社会性と経済性のダブルボトムラインを追求すれば、こういった形で現場へのしわ寄せがまず一旦行くことは間違いありません。そしてそれがサプライチェーンの中で波及していって、立場の弱い人が酷使されてしまうということがずっと起きています。調達担当が納期を妥協しないから、法定の労働時間を超過して働かせるわけで、調達からまず我慢するのが筋でしょう。バングラの工場経営者を責めているだけでは問題解決しないわけです。しかしそれを会社の方針として利益より前に徹底する企業が大企業の中に出てきているのは驚きました。願わくばこれが最終的にマーケティングにのって、消費者の購買行動への変化までつなげていきたいところです。

話はだいぶ込み入ってしまいましたが、sustainable fashionへ世界が向かっていることやその熱狂をメインストリームから感じることができたのは自分にとって大きな確信になりました。

確信と焦り

その確信は僕らのブランド、SALASUSUへの追い風でもあり、同時に焦りをももたらします。あと10年したら日本の企業の多くもsustainable fashionへの舵を大きく切ることになるでしょう。その時に、「話を聞いて見たくなる面白いやつら」のポジションを築けているか。逆にその時に、大手の企業がちょっとしたプロジェクトを始めた方が大きな社会インパクトを出してしまうくらいの吹けば飛ぶ存在にとどまっているのかどうか。それは今の僕たちのあがきにかかっているように思います。

SALASUSUは、Innovationとscaleの両面で、確固たる位置を絶対に築くぞ、という確信をももたらす、そんな旅になりました。No injuryはあたりまえ、Transparent, accountabilitiyの時代が近づいています。さらにその先のempathyのあるものづくりを目指す私たちが世界に何を提示できるのか、ぜひ温かく見守ってください。

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