2012年1月7日土曜日

変な人であること

「自分が変な人だと思われて生きづらい。」もしくは「変な人だと思われないように普通のキャリアを選択してしまう」という話で盛り上がった。

 

僕自身は、東大に入ったり、そこを中退したり、NPOを起業したり、海外での駐在員したりというのは、まぁ例えば小学校の同級生の中では割と珍しいキャリアである。

でも、29歳で160cmで58Kgで妻と子どもが一人っていうのは別に珍しくも無い。

例えば東京みたいな大都市に生まれているっていうのは世界では割と珍しい方であるが、4人家族で長男っていうのはそこまで世界的にも珍しく無いだろう。

 

つまるところ変かどうかというのは、軸と相手によるわけである。

そして、大切なことはアナタを変だと思った相手も変わっていく、ということ。

20代序盤〜中盤は、大学名、仕事とかキャリアとかで人が変かどうかを判断する。20代後半は、結婚してるかどうか、とか、30代になれば子どもの有無とか子育ての内容で変かどうかを判断する。(多分) まぁ40歳くらいになればまた年収とかポジション名とかで判断するのもあるかもしれないけど。 もう一つ、相手が外国人であればそもそも変な人であるし、自国の慣習(XX歳までに結婚すべき)とか押しつけてこない。

ということで、たかだか数年で忘れてしまうような「変」という話に付き合うのは不合理である。

 

しかし、人間とは弱い者で、周囲に白い目をされるというのはなかなかに辛い。ロバートオウエンだか誰かが言ったように「人間は環境の産物」であるという側面もあるわけで、「環境をぶっちぎりましょうよ」っていう主張はマッチョすぎて効果的じゃないかもしれない。だから大切なのは

「環境に影響されない」

ことじゃなくて

「影響されたい環境を作る」

っていうこと。冒頭からの流れで言えば「自分が変だと思われない、むしろ自分が尊敬するもっと変な人がいるような環境」に足を突っ込めば良いのだ。で、環境というのは多元的なものなので、「職場」「サークル」「家庭」「友達」「師匠」「読んでいる本のなか」などのなかで少しずつ実践すれば良いのではないか。

つまり「変でいる勇気」を持つのは大変かもしれないけど、「もっと変な人に囲まれる環境を作るための勇気」くらいは持った方が良いのではないか、ということでした。

カンボジアでももっと努力しないとなぁ。

2012年1月2日月曜日

「真実の瞬間」

人はだれもが自分が必要とされているということを知り、感じなければならない。

人はだれも一人の人間として扱われたいと望んでいる。

責任を負う自由を与えれば、人は内に秘めている能力を発揮する。

情報を持たない者は責任を負うことが出来ないが、情報を与えられれば責任を負わざるを得ない。

年末に読んだ本ですが、さすが今も読み続けられる1990年出版の本。読みやすいのに内容が非常に濃いように思います。

サービス業のホスピタリティについて触れている本なのかと思い読まずに敬遠していたのです。今回、星野リゾートの教科書に出ていたこともあって取り寄せて読んでみたところ、もっと早く読めば良かったと後悔。良い本ですね。

著者が力説するのは下記の2点。

  • 顧客目線での事業優先順位の設定
  • 現場に権限委譲をしてエンパワーメントする大切さ

そして後者は前者を実現するための必須条件であると。誰でも聞いたことがありそうな普遍的なコンセプトですが、この二つを徹底的に行うことで、競争力がここまで上がるのかと実感する好例。なお、著者が説く「真実の瞬間」とは現場の従業員が顧客と接するわずかな時間のこと。例えば平均して15秒。そこでの対応が顧客にとっての全てであるため、従業員が責任を持って対応できるように、現場に裁量を持たせることが必須であるという考えです。

僕はと言えば、最近マネジャー育成や仕組み作りに時間を使っていますが、全社目標ですら明確に伝え切れていない(数字や優先順位を暗記するレベルで)という有様で反省しています。権限委譲の一歩目は情報公開から、とのことで。

さていくつか気になったところをまとめ気味に抜粋。上記の二つのメッセージしかないので、それぞれオーバーラップしています。

意思決定ばかりしている社長、彼は最も重要な責務を果たしていない

  • 意思決定に忙しいことで、企業の経営ビジョン実現という職責をないがしろにしている
  • 単に当面する課題について意思決定を行っているにすぎない
  • どんなに優れた社長でも全ての問題を検討して適切な判断を下すのは時間的に不可能

その結果

  • 多くの意思決定が懸案として残る
  • 総合的な経営ビジョンを心にとどめるものは会社に誰一人いないことになる
  • スタッフはビジョンの全容を知らされていないし
  • 経営者廃止決定業務に忙殺されてビジョンどころでないという有様
  • 多くの社員がアイディアを出したところで上層部が実施に踏み切らないのではないかと思い消極的になる

となる。なので経営者は、下記のように行動しなくてはいけない

  • 新しい総合戦略を考える
  • 全体の戦略構想ができあがったら、いろいろな人の力を借りて戦略目標におきかえなければいけない
  • 目標と戦略を、取締役会、労働組合、全従業員に理解させなければいけない
  • 現場従業員により多くの責任を委ね、彼らが想いきって新しく与えられた権限を行使できるような職場環境を整えなければならない

それらは自分で意思決定を行うより困難な作業である

 

リーダーの役割は、適正な経営環境を形成することである

  • サッカー競技の監督をイメージするべし
  • 選手の人選とベストコンディションを整えることが大切
  • スタッフが敵のゴール前でボールを奪ったとして、突然ベンチまで来て監督にどこに蹴れば良いかを聞きに来たらどうなるか?試合中に自分の判断で動きを決める個々の選手が大切。(現場)

 

ビジネスリーダーは単純明快な言葉を使わなければいけない

  • 単純勝つ率直、しかも全ての階層の社員に対して一種の戦闘開始の鬨の声のような効果を与えるのが最も強力なメッセージ
  • メッセージは交渉でなくても良く独創的である必要さえない
  • 従業員の意見に耳を傾け、自分も平易な言葉で語りかける

 

リーダーの率先垂範が効果的。シンボリックな言動は従業員に伝わる

  • 顧客を大切に と言っている企業の社員が、自社の社長の方を大切にするようなことがあってはいけない
  • 模範を示すことが最も有効なコミュニケーションの手段であり、悪例は破綻を招く
  • 顧客をyふうせんする姿勢を示して、従業員に、そして顧客に、真の優先順位を納得させる

 

目標設定に対する熱意

  • 遠大な目標は、日常業務を超えた展望を与えてくれる
  • 人間は仕事でも私生活でも努力目標が必要だ

 

真の権限委譲の前提条件

  • 真に分権化を行い
  • 従業員が結束する目標を立てて、それを伝える
  • 意思決定の前提条件である情報を与える

→権限委譲するということは意思決定をしてもらうと言うこと。とすると自分が意思決定するときに参考にしている情報や背景を提供しないといけないと言うこと。部下がたいした情報もない提案をしてきたら怒るのと同じように、部下に対して情報を提供できているかを問うべし。

 

従業員に真の責任と権限を付与する組織とは

  • 従来とは根本的に異なる機構で、フラットな組織が必要
  • 第一のレベルの社員(経営層):経営方針の決定と当面のビジネスに対する危険予測、新しいビジネス・チャンスの調査。経営目標を設定し、達成する戦略を策定する。意思決定は行うが細目にはこだわらない
  • 第二のレベルの社員(中間管理職):投資や人員補充のための資源計画・配分を責務とする。現場従業員が経営陣の設定した戦略を実行するのに必要な全ての作業を担当する。活動一つ一つについては意思決定を行わない。他の従業員が意思決定を行うための前提条件を整える
  • 第三のレベル(現場従業員):個々の業務についての意思決定を行う

おまけに。

「責任を分散した結果として社長が四週間休暇を取っても電話がなる必要は無いはず。」 ということで今度の育休中は難しそうですが、来年には達成したいですね。

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